11月も中ごろを過ぎましたが京都は例年になく暖かい陽気が続いております。12月の8日はお釈迦様がお悟りを開かれた日です。日本各地の仏教寺院では成道会が行われ、臨済宗の修行道場では8日間にわたりただひたすらに坐禅に打ち込む厳しい期間を乗り越えた雲水さん(修行僧)の晴れ晴れとした顔を成道会で伺うこととなります。
今回の御朱印は大、小共にお釈迦様に因んだものとさせていただきます。
「自灯明法灯明」
お釈迦様の説法を一番多く聞いたとされる阿難尊者が、お釈迦様のなくなられる間際に「お師匠様の亡き後、私は何を拠り所に生きていけばよいのでしょうか?」とお尋ねになられました。するとお釈迦様は一言「自灯明法灯明」と仰られます。「自分自身と、私とあなたがが至った真実の二つを拠り所に生きなさい。」そう仰られたのです。自らの命は己以外誰のものでもなく、他の誰かに委ねるものではない。またこの意味は自分勝手に生きるのではなく一秒一秒を真剣に生き、その中で気付いた尊い教えを基にして生きることである。コロナで先行きの見えない世界に翻弄され自分を見失いそうな今ではありますが、明日が見えないのは今も昔も変わりません。自分が立っている今を真剣に生きましょう。そんな思いを伝えたい御朱印です。
「四十九年一字不説」
よく言葉尻だけで思われがちなのですが、決して「お釈迦様は49年間何も説かれなかった。」という意味ではございません。お釈迦様は誰にも分け隔てなく教えをその人、一人一人に真剣に向き合いその人に伝わる最高の形、最高のタイミングで説いてこられることにより、聞いた人たちがその真意に気付くことが出来ました。悩みの種を多く持ちながらその種を捨てることが出来ず抱えている人たちにその種を捨てることで満たされる境地を説かれたのです。まったく今の我々は一体どれだけの悩みの種を捨てずに溺れていることでしょう。自らを目をかっぴらいて見つめなければなりません。そんな御朱印です。
12月の御朱印日は5日、6日です。皆様のお越しをお待ち申し上げております。